歩く幽霊

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【ネタバレあり】映画「鬼滅の刃 無限列車編」の話

日に日に肌寒さが増すのとは対照的に、木々が鮮やかに色づく今日この頃、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

連載開始当初から大好きな漫画「鬼滅の刃」の映画が個人的にすごく良かったので感想を残します。

アニメ「鬼滅の刃」公式ポータルサイト

 

なんだかんだで一般認知度とか人気が高まるのはいいことだし、今後もコンテンツとしてまだまだ続いていくことは間違いないので、もっと好きな人が増えてくれますように。

 

1.原作における「無限列車編」

  原作における無限列車編は、JC7巻2話目〜8巻5話目と、およそ単行本1冊分+αな長さ。

  当初の敵は十二鬼月のうち下弦の壱だが、エピソード終盤では上弦の参が登場し、作品内初の上弦の鬼との戦闘エピソードとなる(その直前に登場し、後に上弦に加わる『鳴女』は鬼殺隊と交戦していないため除く)。激しさを増す鬼との戦いを象徴していると言える。

  また、炭治郎たちが初めて柱の剣士と共闘するエピソードでもあり、その強さ、生き様から3人は強い影響を受け、その後の展開にも大きく影響を与えることになる。

 

 

2.今回の映画の個人的な見どころ

 ufotableによる超美麗な映像

  冒頭のお館様のお墓参りのシーンの林や墓地の映像が、もはや実写と言われても信じてしまうようなクオリティで、このためだけでも1500円払って映画で観た方がいいレベル。

  また、TVアニメ放映時も話題になった雪山の作画も、改めて大スクリーンで観るとため息が漏れた。雪国生まれも思わずニッコリ。

 

 

②原作から追加+大幅にクオリティを増した煉獄さん関連のエピソード掘り下げ

  原作で合間合間に挟まれていた煉獄さんの幼少時代や家族とのエピソードが、じっくり尺を使って丁寧に描かれている。また、漫画ではページ数やコマ割り等の関係で省略されがちな細かな表情・感情の機微が、これまたハイクオリティな作画とキャストの演技でしっかりと丁寧に描写されており、原作ファンも大満足な仕上がりとなっている。

 

  戦闘シーンでは、炎の呼吸使用時の炎が揺らめくようなエフェクトがとても綺麗で、かつヒノカミ神楽で用いられている赤色とは違った配色(筆者の主観だが)で差別化されており、「炎の呼吸」と「日の呼吸」の違いが視覚的にわかるようになっている。

 

  また、無限列車乗車後の夢の中の戦闘も、原作では鬼1体を倒して終わりだったのが新規で鬼が追加されたほか、本来は猗窩座戦で初披露だった「昇り炎天」も使われ、どうしても出番が少なくなりがちな炎の呼吸をより見せてくれる工夫がされている。

 

③小学生観て大丈夫か?!となるしんどいシーン

  今回登場する魘夢が見せる夢の中で炭治郎は家族に再会する優しい夢を見ることになるが、ここまで炭治郎の気持ちに寄り添って観てきた側からすると本当にしんどい。

 

  また、逆に家族から「なぜ助けてくれなかった」「自分だけ生き残って」とひたすら責められ続ける夢も見るが、原作では結構サラッとしたシーンなのに家族の亡骸だとか六太の泣き声だとかお父さん(Cv.三木さん)から詰られたりだとか本当に観てる側がしんどくて泣けてくるくらい辛い。

 

  昨今の人気から小さい子供も映画館に多くいたが、結構トラウマになるレベルだった。しんどいの大好きな諸兄にはかなりのおすすめポイントである。

 

 

3.個人的に特に嬉しかったところ、泣きポイントや感想

①戦闘シーンの大幅な補完

  前述した煉獄さんと炎の呼吸の戦闘シーンもそうだが、特に猗窩座戦は「さすがufotable!」と唸りたくなるような音と光、疾走感だった。柱と上弦の鬼による、常人では目で追えないような速度の戦闘を剣戟の光で再現するとともに、原作にはなかった煉獄さんの片目が潰されるシーンが細かく追加されており、戦闘の壮絶さがよりダイレクトに伝わってくる。

 

②声優陣の熱演

  特に魘夢戦での花江くんの「言うはずがないだろうそんなことを 俺の家族が!」というセリフに思わず泣いてしまった。炭治郎が持つ家族への愛情や信頼、そして家族から受けた愛情を象徴するセリフだが、それら全ての感情を余すところなく演技にこめてくれた花江くんが本当に好き。「人の心に土足で踏み入るな」とか猗窩座が逃げる時の「逃げるな卑怯者!!」とか「鬼殺隊はいつだってお前らに有利な夜の闇の中で戦っているんだ!!生身の人間がだ!!傷だって簡単には塞がらない!!失った手足が戻ることもない!!逃げるな馬鹿野郎!!馬鹿野郎!!卑怯者!!」とか「動け!煉獄さんのために動け!」とかもうお前が炭治郎だよありがとう夏樹。

 

  また無限列車編でさらに人間らしさが増した伊之助の演技。松岡くん、こんな演技もするんだ、好き。。。となり戦闘中に炭治郎にこれは現実だと気付かせるシーンとか炭治郎を刺した運転手に本気で怒るところとか煉獄さんを失ったショックで呆然とする炭治郎と善逸を激励してでもお前も泣いてんじゃねえか俺は泣いてねえ今から特訓だありがとう禎丞きみが生きている時代におれも生きていられて本当によかった大好きだよありがとう。

 

あと善逸の霹靂一閃・六連と「禰豆子ちゃんは俺が守る。」はマジに惚れます。さすがおれたちの下野さん。

 

③アニメ関連のプロモーションの巧さ

  今回の映画だけでなくアニメサイド全般に言えることだが、とにかくプロモーションや情報の出し方、隠し方が非常に巧いと感じた。

  猗窩座の存在は(原作読者はもちろん既知のことだが)伏せられており、キャストについても(パンフやネタバレを先に読むといったことをしなければ)視聴者は全くわからない状態であり、アニメから入ったファンはもちろん、原作読者もいい意味で「初見殺し」を味わえた。

 

  余談だが猗窩座は個人的にはそれこそ関智一さんといった武闘派な感じのキャスティングを想像していたが、蓋を開けるとあの石田彰さんで少し面食らってしまった(さすがに具体名は出していないが、鬼滅ラジヲでも同様のことを花江くんが言っていた)。

※参考:テレビアニメ「鬼滅の刃」公式ラジオ 鬼滅ラヂヲ WEB版 | インターネットラジオステーション<音泉>

  しかし猗窩座が煉獄さんに「お前も鬼になれ」と勧誘する感じとか、危険な甘言をちらつかせる態度がなんとも自分の中の石田さんのイメージにハマり、結果的にはいちファンとして納得できるキャスティングだったと思う。

 

④煉獄さんが本当にかっこいい

  煉獄さんのように、人のために心を燃やせる男になりてえ…

 

4.あとがき

  まだ発表されていないのでなんとも言えないが、アニメ2期は順当にいけば煉獄家を訪ねるところから再開となると思われる。その辺もまたしんどいシーンがあるので、楽しみにしたいなあという気持ち。

  鬼滅の刃最終巻は12月発売予定とのことなので、そちらも心待ちにしながら、またこれからの辛い日々も心を燃やして乗り越えていきたい、そう思わせてくれる映画だった。

 

 

 

おわり。