Day 1: ファースト・フライト
ライト兄弟(ライトきょうだい、英: Wright Brothers)は、アメリカ出身の動力飛行機の発明者で世界初の飛行機パイロット。世界最先端のグライダーパイロットでもある。自転車屋をしながら兄弟で研究を続け、1903年に世界初の有人動力飛行に成功した。
(Wikipediaより)
有史以来、人は常に空に焦がれてきた。
自由に空を飛び回ることができたら。
そして今、ここに未だ飛行を知らぬおたくがひとり。
飛行機の利用を最初に決意したのは夏頃だった。
何の気なしに抽選を出したBUMP OF CHICKENのライブツアーに大当たりをしたところで、
現在の居住地から東京まで行く経路に悩んだ。
新幹線に乗るには1時間半運転して県庁所在地まで出なければならず、
特急を利用して日本海側を南下しても4時間以上かかる。
じゃあどうするかというところで、職場の同僚から飛行機という選択肢を提示された。
飛行機なら往復3万円程度で、1時間程度で東京に着く。
問題はただ一つ。
過去24年間、一度も飛行機に乗ったことがなかった。
今までこの足は大地を離れたことがない。
しかし,この年齢で飛行機に乗ったことないってどうなんだ…?
いつか海外に行くことになったとき困るのでは…?
というかダサいのでは
その思いから,人生経験として飛行機を利用することを決意したのだった。
11月2日。
連休の始まりにふさわしい,清々しい秋晴れ。
今日,俺は飛ぶーーー。心のなかで気合を入れ,3日間の泊まり自宅をはじめた。
諸々の準備を終え、10時半ごろに出発。
初めて走る道路だったが、迷うことなく空港に到着。
しかし、ここでミスに気付いた。
飛行機の乗り方を知らない。
そういえば乗ることばかりに気を取られて具体的な搭乗手続きとか何一つ調べてなかったーーーー!
慌ててスマートフォンで検索し、具体的な飛行機の乗り方ーーー飛行機に乗る前にチェックイン手続きが必要なこと,スーツケースはあらかじめ預けておいたほうがよいこと,機内に液体は持ち込めないこと,俺が前日夜に苦心して選んだお土産が持ち込めないことーーーを知った。
俺のおみやげ(ご飯にかける漬物)だめじゃん!!!!!
たまに奇をてらって小洒落たものを選ぶとこういうことになるね…。
泣く泣くお土産を車に置いてきた、荷物の検査の締め切り時刻(出発時間の20分前)が迫ってきたのでダッシュで検査受付へ。
なんとか手続きを間に合わせ、いざ機内へ。
絞首台に上がる死刑囚ってこんな気持なのかなーと思いながら乗り込み,席に座る。
目の前の座席にはタブレット端末めいた液晶画面があり、情報を閲覧したり映画や音楽が楽しめるらしい。
高速バスや新幹線にはないプレミアム感にワクワクしながら、離陸を待つ。
CAさんのアナウンスとともに、飛行機が動き出す。
こいつ動くぞ!!!と心のなかで絶叫してる間に、飛行機は滑走路へ。
このときはまだ落ち着いていた。
本格的な離陸体制に入るため、飛行機が高速で走り出す。
あれ。
速いね、これ…
結構速度出るんだね。。。。
あああああああああああああああああおろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろしておろして
そして悟った。
人は大地から離れてしまえば、もう逃げ場はないのだと。
気づけば飛行機は着陸態勢に入り、眼下には東京湾。
途中素敵なCAのお姉さんにコーヒーをもらった気がするけど、全く覚えていない。
人生初の飛行体験は刺激的なものであったし、なかなかに楽しむことができた。
実際乗ってみれば(浮遊感と揺れ以外は)快適そのものだし、機内モードであればスマートフォンもタブレットも問題なく使用できる。
次は海外進出。
そう心に決意し、空港を後にし、ようやっと目的地へ向けて歩き出すのだった。
ちなみに帰りの飛行機では隣の席のおばあちゃんとお話ししたり頼まれて機外の写真を撮ったりしていて行きとえらい違いだった。
あのおばあちゃん(関西から東北に嫁いだ娘さんに会いにきたらしい)が無事に東北を楽しめたならいいな。
Day 2: Fineにつづく。